7 月 22

7月18日から20日までの3日間、東京ビッグサイトで行われたワイヤレスジャパン2007にジェイマジックが出展しましたが、僕も微力ながら初日と最終日の前半に説明員などでお手伝いさせてもらいました。 

お蔭様で初日の午前中から盛況で、ずっとしゃべりっぱなしでした。中でも今回の展示会でお披露目したMagic  Loupeのデモが非常に好評でした。このMagic  Loupeは「実世界と仮想世界をつなぐ虫眼鏡」という、ジェイマジックが目指している世界観を伝えるために作成したコンセプトモデルで、携帯電話のカメラをCDにかざすだけで楽曲が視聴できるというものです。IT mediaにも取り上げられました

下の写真は、初日に取材に来たズームインスーパーの様子です。

 
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また今回、顔ちぇきがモバイルコンテンツフォーラム主催のモバイルプロジェクトアワード2007のコンテンツ部門優秀賞をいただきまして、7月19日に授賞式が会場で行われました


授賞式の途中、なぜかアイドルのライブが始まったりして、びっくりしました。聞いたところ、毎年やってるみたいですね。

 

というわけで非常に慌しい1週間でしたが、実りも多かったと思います。さて、今週は溜まった仕事と研究を片付けねば(^^;)

7 月 12

研究室のドクター同期から教えてもらった記事です。

「博士」も定職が見つけられず…ポストドクター1万5000人超

僕は社会人ドクターなので就職難の心配はありませんが、これって日本にとってどうなんでしょう。これって「研究」というものが日本企業から軽んじられてるってことなんでしょうか?それもありそうですが、大学というものが企業から軽んじられているんじゃないかなあという気もしてます。

実際、僕が新卒で就職活動した時は面接担当者に「大学でやってきたことは関係ないから」ってはっきりと言われましたし、就職した会社では理系で修士号を取った人間を営業に使うなんて非常にもったいないことしてました。(僕も危うく営業にさせられるところでした)

せっかく博士号取ったのに、就職しても自分の専門とは違う研究をさせられてる人って結構いるみたいだし、企業にしてみれば「3年間も余計に大学で勉強したせいで、新卒者よりも余計な専門性が身について、しかも歳もとってて使い辛い」という感じなのではないかと邪推してしまいます。

僕にはこの問題をどうすれば良いのかまったくわかりませんが、やり切れませんねえ。

7 月 11

ソニーコンピュータサイエンス研究所発の2つの技術ベンチャーが立ち上がったことがITmediaの記事に出ていました。

片方の技術は、モーションポートレートという1枚の顔写真から顔の3次元モデルを作成するというもので、もう一つが「Place Engine」という無線LANの電波の強さから位置情報を割りだすという技術です。

1枚の画像から3次元モデルを作成するのは、あらかじめ顔の3次元モデルを用意しておき、それを2次元画像へフィッティングすることで求めているようです。前回書いたfotowooshよりは、ある程度モデルが既知なので、技術的なハードルは低いと思われます。ちなみに似たような技術をPolar Roseというスウェーデンの会社も実用化しているみたいです。 ただ、ソニーの技術はキャラクター画像にも対応しているというのが、なかなかユニークだと思います。

実は一枚の顔画像から3次元復元をするという技術と、無線LANから位置情報を割り出すと言うどちらの技術も、3、4年ほど前に当時僕の上司だったMさんが実用化しようと目論んでいたものでした。

今を遡ること4年前、僕は最初に入社した某大手外資系メーカーをリストラされ、小さなベンチャー企業に就職しました。その1年後に今度はそのベンチャーが、取引先のGIS(地理情報システム)の会社(今年の初めに倒産)に吸収されました。 このベンチャー企業とGISの会社で僕の上司だったのがMさんです。実はこのMさんの専門が画像認識で、そのおかげで僕は画像認識を自分のこれからの仕事にしていこうと思うようになりました。

この方は、どういうわけか世界中の超一流の画像認識の研究者と知り合いで、ベンチャーを立ち上げてはその人達の技術を実用化する、ということを長年やっています。僕もこの方の下で働いていた頃、プロジェクトマネージャーみたいな形で何度か海外の大学とやり取りしたことがあります。

その知り合いの中にスイス、バーゼル大のThomas Vetter教授がいるのですが、この方は1999年に一枚の顔画像から顔の3次元情報を復元して、認証させると言う研究を発表しています。僕がそのベンチャーに勤めていた時に、この技術を実用化しようという話が持ち上がり、僕も技術面で色々と協力する予定だったんですが、クライアントとの折り合いが付かず、結局プロジェクトがうまく立ち上がりませんでした。

また、その後吸収されたGISの会社でも、無線LAN情報を使った位置測定技術の研究を計画していたのですが、会社側の体制の問題でこちらも実現できずに終わりました。

今更ながら、Mさんの先見の明は大したものだと思います。ただ、やはり当時Mさんの周りの環境が整わず、そうこうしているうちに資金力と環境を持っているところがきちんと実用化してしまいました。まあ、そのMさんのことだから、またもっと新しい技術を見つけて取り組んでいることだろうと思いますが。

僕の頭の中にも実現したいアイデアや研究はたくさんあるんです。でも、僕の場合はMさんのようにうまくそれを周りに説得できるだけの実力がない・・・。僕がどんなに面白いと思っていても、その凄さや面白さというのはなかなか周りに伝わらないんです。 

そうこうしているうちに、今回のように他がどんどん面白いことをやってしまうだろうと思うと、一日でも早く実力をつけたいと強く思います。だからこそ、今の博士課程の勉強を頑張らねば!

7 月 8

前回の続きで、研究テーマと方針を決めるまでの話を書こうと思います。前回は、研究には必ず「新規性」、つまり今まで誰もやっていなかったことをやる必要があるという話をし、自分でテーマを決める場合はその新規性を考えるのがとっても大変なんですよ、という話をしました。

というわけで、僕の研究テーマですが・・・、

恥ずかしいので具体的な研究テーマは秘密にさせてもらいます。(笑)

ただ、どうせなら研究成果が実際にジェイマジックの業務で使えるようなものがいいな、という視点でテーマを探しました。
「ジェイマジックの業務で使えるもの」という縛りがあった方がたくさんある研究分野の中から研究テーマを絞っていくのに便利なことと、会社の理解が得やすく、かつ自分もモチベーションが上がりやすいためです。

余談ですが、そういう意味では、斎藤研というのは僕みたいな立場の人間にはぴったりな環境という気がします。研究テーマを自由に決めることができ、かつ基礎研究というよりも応用研究がメインなので、こういう業務を睨んだ研究と言うのを選択し易いためです。(業務から離れて、より認識の根本を考えるような基礎研究にも憧れはあるんですが、それはもっと「キレた」研究者にお任せすることにして、自分はそういうものをたくさん勉強して利用できる立場になろうと思ってます。)

ところで斎藤先生からも指摘されたのですが、実は業務などの具体的な利用シーンが明確になっていた方が、研究にはなりやすいみたいです。というのは、既存研究の実用化というのを考えた場合、そこに実用化ならではの制約条件(例えば処理速度はX秒以内、××のような特殊な環境下でも認識する必要があるなどなど)が出てくるので、既存研究をその制約条件をクリアするためにこんな風に改良しましたということで、十分「新規性」が出るためです。また「なぜこの研究が必要なのか」という背景の理論武装にもなります。

今回の研究の方針もそんな感じで、まずは既存の研究を自分の目的向けに使ってみて、どんなところが足りないかを調べ、改良していこうということになりました。

というわけで、実は僕は研究テーマ自体はだいたい今年の3月くらいには決めていました。が、その後顔ちぇきの開発やら何やらでしばらく研究の時間が取れず、とりあえず空いた時間で細々と関連論文を読み漁っていました。

関連論文は、以下の視点で選びました。
・自分がやろうとしているテーマの既存研究
・似通ったテーマの研究で、自分のテーマにも応用が利きそうなもの

まずはGoogleGoogle Scholar、各論文誌のデータベース(大学のネットワークからアクセス可能)を使って、自分の研究に関係ありそうなキーワードを色々と入力して論文を検索します。また、論文は必ず参照した論文リストが後ろについているのですが、集めた論文が更に参照している論文なんかも集めたりしました。特に多くの論文から参照されている論文と言うのは重要な論文になるので、これも探し出してダウンロードします。

このようにして集めた論文全てに目を通していては大変なことになるので、まずはタイトル、次に論文にはかならず要約がついているので、その要約をざっと読んで、関連がありそうなものはメモを取るようにしていきました。
その後、一通り作成したメモを眺めて、この中からどれを重点的に読むかを考えて、その中から4-5本くらいキーと成りそうな論文を選んで、全体を眺めるように読みました。
最後に、その中でも特に重点的に読むべきものを1-2本決めて、しっかり読みます。

こんな感じで、ようやく大まかな既存研究の調査が終わり、その中からどのアプローチで実装していくかの方針も決定しました。
まずはこれから3ヶ月で既存研究を実装してみて、「とりあえず動くもの」を作る予定です。(不安・・・)

うまいこと、研究と仕事がWin-Winの関係になれれば良いなと願ってます。

7 月 4

先週、斎藤先生と話し合ってようやく研究のおおまかな方針が固まり、これからとりあえずプログラミングを開始することになりました。
というわけで、これから自分の研究生活について書いていく前に、まずは時間を遡って研究テーマを決めるまでの経緯を書いておこうと思います。

研究テーマの決め方は研究室によってまちまちですが、例えば先生から研究するテーマを与えられる研究室もありますし、自分でテーマを選ぶことができる研究室もあります。
斎藤研は基礎研究というよりは応用研究、つまり既にある程度確立された理論を、実用的な分野へ適用しようという研究室なので、学生は画像処理というところから外れなければ、かなり自由にテーマを選択できます。

そのためかこの研究室は、学生ならではのユニークな研究が多いように思われます。例えばサッカーや野球のようなスポーツのシーンや運動の解析や、ギターの弾き方、ビリヤード、コミックなどを画像で解析するなんてものもあります。
(ただ、その中でも一応メインは3次元画像処理で、画像から3次元モデルを再構成したり、Augmented Realityというリアルタイムに撮影された映像に仮想物体を埋め込んだり、といった研究が中心になっています。)

さて、研究には必ず「新規性」が要求されます。つまり今まで誰もやられていないことをやらなくてはいけないわけですが、画像処理を研究している研究者というのはそれこそ五万といるので、その中から新規性を出すのは非常に厳しい作業です。
研究テーマを先生から指示される場合と言うのは、この「新規性」が明確になっている場合がほとんどなので、それほど苦しまなくて良いのですが、自分で研究テーマを決める場合、如何にこの「新規性」を出すかで苦しむことになります。研究テーマが指示される場合は、通常はその研究室が今までやってきたことを発展させることになるので、少なくとも今までその研究室で積み上げてきた最先端の成果の上に自分なりの工夫を積み重ねることが出来るため、「新規性」も明確です。
しかし自分でテーマを決める場合は、運よく今まで誰も適用していなかったような新しいニッチを思いついたなら良いですが、自分が思いつくようなことというのは世界の誰かが思いついているという場合がほとんどなので、徹底した既存研究の調査が必要になります。

実際8年前の僕の修士研究は、自分でやりたいテーマにこだわった挙句、その中に新規性を見出せず、結局研究としてはたいしたこともできずに終わりました。ただ、今思えばあの苦しみのおかげで、「研究」というものの考え方が骨身にしみてわかった気がしてます。

というわけで、当然僕はあの頃よりは「研究」というプロセスについて理解しているつもりですし、社会で揉まれた分マネジメントスキルや開発スキルも身に着けてきたはずですから、今回はもうちょっと良い研究ができるだろうと思っています。この博士課程進学は僕にとっては8年前のリベンジでもあるんです。

では、実際僕がどうやって今回の研究テーマを決めたかと言うと・・・、長くなったのでまた今度。