経営者と学生のIPA討論会の話が、あちこちで話題になっているようですね。
「10年は泥のように働け」「無理です」――今年も学生と経営者が討論
「IT技術者はやりがいがある仕事か」—学生とIT産業のトップが公開対談
僕が特に気になったのは、情報処理推進機構の理事で、元NEC代表取締役社長の西垣さんの台詞。
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「数として欲しいのは,金融システムなど企業の大型システムに従事する人間。こういった領域では,個人の能力よりは業務ノウハウが重要。プログラマとして優秀であっても,業務を理解しないと,よいシステムができない。技術だけを評価して処遇することは企業としては難しい」
「天才プログラマのように技術を極めるのであればそれを生かす道に行くべきであって,企業に入って大型システムを開発するのはもったいないか向いてない」
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プログラマと言うものをどういうレベルでとらえるかにもよりますが、日本の大手IT企業の元社長の発言としては少し残念です。
確かに大型システムを導入する上では、業務ノウハウは重要だし、上流での要件定義や設計などなどを誤れば使いものにならないシステムになります。またプロジェクトマネージャーの善し悪しによって、システムのクオリティや導入コストが大きく左右されるのは間違いありません。
でも、だからといって天才プログラマがいらないという結論にはならないと思います。例えば良いコードを書くことで性能が10分の1になれば、それだけサーバー台数が減ってコスト削減につながりますし、頭の良いプログラマは複雑な処理をとてもシンプルに作成することができるため、メンテナンス性は上って、運用コストや先々のアップグレードなどなどのコストも削減できます。(実際、今仕事の現場で良いプログラマの重要性というものを実感しています。)
それに大型システム相手の仕事でも、より生産性のあがる共通コンポーネント作らせるとか、マネジメント次第でいくらだってプログラマのクリエイティビティを活かせる仕事を生み出せるんじゃないでしょうか。
確かに、システム開発があまりに属人的になるのは問題です。ある程度プログラマの質にばらつきがあったとしても、うまくシステムができあがるようにということで、統一プロセスなどの様々な開発プロセスが検討されているし、それはそれで価値のあるものだとは思います。
ただ、それでもクリエイティブなプログラマは、案件毎ではない、より根幹の開発効率や業務効率、技術の面からの新しいソリューションを生み出せるのではないのでしょうか?
例えば、僕の専攻しているコンピュータ・ビジョンの分野は、工数をかければ良いものができるというわけではありません。むしろ10人がかりでお金をたくさんかけてできなかったことを、たった一人の天才がやってしまうような世界です。
残念なことに、西垣さんようなプログラマに対する考え方が日本のIT業界では主流だと思われます。
多分、多くのIT企業がシステムの受注額を、そのシステム自体の価値ではなく人月計算で見積もるのが、プログラマの価値を貶めている一つの理由かもしれませんね。優秀でないエンジニアでもその分の工数の金額がお客さんから受注できるなら、企業の利益には関係ないわけですから。
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「未踏でスーパークリエータに認定された技術者が3人Googleに就職したが,それはいいことだと思っている」
「彼らには何年かして日本で起業して欲しい。そこまでのステップを踏まないと新しい流れは生まれない」
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この台詞からは、西垣さん自身が日本のIT業界の改善をあきらめてしまっているように聞こえてしまいます。
なんとも寂しい話ですね。